「時計じかけのオレンジ」おしゃれで狂ってる映画

わたしはこの映画を大学時代に、教授から勧められてみて、トラウマ級に脳裏に焼き付いたのを覚えています。

ジャンルで言うと、近未来クライム(犯罪)映画といったところでしょうか。

「時計じかけのオレンジ」あらすじ

主人公であるアレックスは、犯罪少年グループを作り、ドラッグ入りミルクを飲みながら、道で会った老人に暴行を加えたり、他人の家に押し入り、強盗、暴力、レイプなどを楽しんでいました。

しかし、ひょんなことから、その仲間たちの反感をかい、裏切られ、自分だけが刑務所送りとなってしまいます。すると、そこでアレックスは模範囚として看守の目にとまり、実験的に行われていた「ルドヴィコ療法」を受けることになります。

その療法を受けることを引き換えに釈放が約束されていたからです。

その療法の内容は、手足を拘束され、目も閉じられない状況で、犯罪・レイプ・暴力映像を強制的に見せられるというものでした。

本来ならば犯罪を行なっていたアレックスは、それを見ること自体は問題がないはずなのですが、アレックスはそれをとても嫌がります。

というのも、そこで流れていたBGMがたまたま、彼の大好きなヴェートーヴェンだったからです。

こうして彼の頭の中には大好きなヴェートーヴェン=暴力、犯罪などの悪いことという印象がこびり付いてしまいます。

その治療を終え、彼は出所しますが、そこで待ち受けるのは、もうヴェートーヴェンを聞くことはできない苦しみ、仲間や被害者からの復習などの、ひどい仕打ち。

果たして善とは、そして悪とは何かをとても考えさせられる映画です。

そして、最後のシーンで、療法を受けて、暴力や犯罪行為に対して嫌気がさしたはずのアレックスは微笑み、それで映画は終了となります。

果たして、この療法は、本当に効果があったのでしょうか。

「時計じかけのオレンジ」の魅力はどこ?

映像の綺麗さ

この映画は、1971年公開ですので、決して新しいとは言えないですが、その色使い、作中に登場するインテリアにはすごく驚かされます。

まさにキューブリック監督の色がすごく出ている映画だと思います。

舞台としては、近未来の設定ですので、現在でも見かけないようなソファやベッド、バーなども奇妙ですごく面白い映像となっています。

建築デザイン的な面でも楽しめると思います。

また、登場人物の服装もかなり変わっていて、見応えがあります。

例えば、ナイフ付きのスティックや、目玉がついたカフスボタンなど。おそらくその後の映画に大きな影響を与えたことだと思います。

実際にトレインスポッティングなど名作の中でもパロディがされているほどです。
ぜひこの映画で、近未来的なSFを感じて見てください。

文学的な立場から|果たして悪とは?

この作品前半では主人公のアレックスたちは完全な悪の対象として描かれます。
しかし、後半では、かわいそうなほどの仕打ちを受けることになります。

確かに、悪事を働いた人物が仕打ちを受けるという展開は、アメリカンコミックなどでもおなじみかもしれないですが、こちらでは、殺されたりしない代わりに、陰湿な仕打ちがずっと続きます。

果たして悪とは何者なのでしょうか。
仮にも刑務所で刑期を満了したアレックスを、かつての仲間たちや被害者たちが裁くことができるのでしょうか。

音楽の面白さ

アレックスはヴェートーヴェンが好きで、レコードでずっと聞いているのですが、犯罪行為を行う時には、「雨に唄えば」を歌うのです。

彼はその曲を楽しそうに歌いながら、老人を殴ったり、蹴ったり。あの曲は本来楽しい雰囲気の歌ですから、その対照性が、逆に彼の狂気を際立たせます。

そして、この映画を見終わった後に、テレビCMなどで「雨に歌えば」を聞くと、アレックスの暴力シーンを誰もが思い出すことでしょう。

これ何かと似ていると思いませんか?
そうです。まさにこれが「ルドヴィコ療法」なのです。

本来であれば楽しい感じの歌なのに、この映画「時計じかけのオレンジ」という療法を通して、私たちの頭の中では「雨に唄えば=暴力・レイプ・犯罪」というイコール関係が完成してしまうのです。

まさに画面の奥にいながら、わたしたちも、いつの間にかその被験体となっていたのですね。
あえて、みんなが知っている曲を起用するという、まさにキューブリック監督おそるべし。

視聴者に考える余地をたくさん残している

優れた作品こそ多くは語らず、考える余地を残すものです。

作中では、アレックスは刑務所を出た後で、仲間や昔の被害者たちからの仕返しを受けることになりますが、最終的には、その被害者宅で、ヴェートーヴェンを大音量で流されるという仕返しをされ、耐えられなくなった彼は、二階の窓から、飛び降り自殺を図ります。

しかし、目を醒ますと、病院のベッドの上。

近くには、新聞や週刊誌の記者ががたくさんおり、どうやら、「ルドヴィコ療法」の被験者が自殺を図ったということもあり、あの療法は本当に効果があるのか、むしろ拷問に近かったのではないかと、マスコミが嗅ぎつけたようでした。

また優位な立場につくアレックス。
そして、ステーキを食べさせてもらいながら、楽しそうにしているアレックスの姿が映ります。

さっきまでの苦しんでいたのが嘘のようです。
そして作品の最後では、作品冒頭で見せた、悪意に満ちた笑顔を再び浮かべるアレックス。

果たして、彼にはルドヴィコ療法は効果がなかったのか?

この後の展開に関しては描かれていないので、断定することはできませんが、おそらく彼はまた犯罪行為を繰り返すでしょう。

これはある意味では、オープンエンドなので、彼は更正したとも捉えることができますが、わたしは、現代の刑罰に対するアンチテーゼであると考えています。

罪を犯すのが人間であれば、それを裁くのも人間。
人間に人間を裁くことは、本当に可能なのか。

人間の本性は悪か善か。
そのようなことまで考えさせるような映画であると思います。

まだまだ考える余地はありそうです。

まとめ

以上のような魅力たっぷりの映画ですが、暴力シーン・レイプシーンなどが含まれていますので、グロテスクが苦手な方はお控えください。

それでも間違いなく名作だと言い切ることができる作品ですので、ぜひキューブリック監督の世界観に浸って見てください。

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